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さらさく

おっさんのうだうだ誕生日

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おっさんのうだうだ誕生日

ジェイドさんお誕生日おめでとう!9時前まで忘れてたとかそんな感じだけど大好きなんだからね!内容も祝ってないじゃないかとか気にしないでね!
いい年したおじさんが養家との関係でうだうだ悩んでるだけのお話。
長編とはなんら関係ありません。

Pixivにupしたのと同。本文は続きからどうぞ。



男は帰り支度を終え、執務室の電気を落とす。
部屋を後にし、廊下を歩いていく。

もう数時間で誕生日が終わる。
今日の仕事は全て終わっていて、後はもう帰るだけである。
なんだかんだで毎年祝ってくれる幼馴染たちは生憎と忙しいらしく、前倒しで祝われた。
その事が気が重くなるようなことを引き起こしてしまったのだが、彼らに文句を言うことはできない。できないが舌打ちをしたくなるような気分だ。
養子に迎え入れられた時の私は自分自身を疎んでいたのは承知の事実であろう。
だが、養親はそんな私の心情を知ることもなく、ただただケテルブルクから遠くグランコクマにやってきた私が寂しくなかろうかと気遣ってあれこれと世話を焼いてくれた。
そのどれもがわずらわしくてたまらないものであったが、その中でも一番苦痛だったのが誕生日を祝われることであった。
幸いというべきか、士官学校に通い始めてすぐにレプリカ研究が期待視されそんな私事にかかずらっていることなど到底出来ようがないほど忙しくなりそれを口実に断ることが出来るようになった。
研究が破棄する時には方向転換するためにこれまた忙しくなり、そしてそれが過ぎた頃には、ピオニーが皇位を継承することが決まってからは彼が誘ってくるものだから体よく養家からの祝いの誘いは断ることが出来ていた。
しかし、今日はそのどれもが当てはまらない。仕事を口実にしようかとも思ったが、時間が押したもののまだ時間があるうちに終わってしまった。
養父母はもちろん軍に所属していたため、どういった時が忙しいかも熟知しており今までの「忙しい」は言い訳として不適当であることは見抜かれてしまうだろう。
いい年をしてとは自分でも思うが、自身の成してしまったことに本当の意味で折り合いをつけることができ疎む必要がないと気づいてはじめて拒ばみ続けた理由を失ってしまったのは初めての事であり、困惑するのはいたし方のないことだと思いたい。
それでなくともこうして断り続けたのだから、いくら来るように言われていても行きづらいのは当然のことだろう。
が、無視し続けても毎年のように祝いの言葉と贈り物をもらい続けていたのだから、理由が無いのにいかないのも心苦しい。

作戦本部を出、夜道に差し掛かったところで彼はふと足を止め自嘲気味にわらった。

まさか、自分が彼らに対して心苦しいなどと思うことがあるとは!
利害関係しか考えずに養子になったことを考えると青天の霹靂であり、それがまたおかしかった。
そのおかしさに気がつくと、今まで悩んでいたことが馬鹿々々しくなった。
まったく、自分には似つかわしくないがこういうこともまた良いだろう。

男はそれから軽快に貴族街へと消えていった。

 

余談。

養父母は男をまるで隔たった時間が無かったかのように普通に祝い、そしてなんてことはない話を(それまではずっと仕事など家にかかわることしか話をしていなかったのだ)はじめて彼らは交わした。
その様子にふと疎む前の生家での誕生日が頭によぎったらしい。

このことが権力のあるほうの幼馴染に知れてしまい、旅の最中親しくなった貴族の青年のいる場でうっかり(もちろんそんなことは微塵も信じていないが)からかいの種として語られてしまった。
恥ずかしいことこの上なく、青年の今はいない少年が帰ってきたときに話題の一つになっていいじゃないか、というフォローともいえない言葉に思わず冷たい目を向けてしまったのは仕方が無いことである。

さらに付け加えて言うとするならば、帰ってきた少年はそのことを聞き、嬉しそうに笑ったそうだ。

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