※史実や演義、三國志、三國無双等三国志関連のものからおいしいネタのみ拾っていきます。無双要素はたぶんビジュアルとか。
その上メモですので短いです。
それでもOKという方はどうぞ。
その日、司馬懿は父の司馬防に呼び出された。
来室の旨を下女に伝えるとややあって入室の許可が下りる。
部屋に入り礼をし、いつもの通り頭を下げたまま静かに父の言葉を待つ。
ややあって司馬防が、
「懿よ、そなたはこのたび河内郡より上計掾に推挙された。ここまではわかっておるだろう。
それに耳の早いことで、曹司空がそなたが推挙されたならばぜひ自分の部下にしたいと申し出てきてな。
どう返事をしたか理由を含め懿の考えを申してみよ。」
と言った。
「…断られたのではないのですか。曹司空にはすでに伯達兄上が仕えております。
これ以上曹司空と司馬家が近くなりますと、官渡にて負けたとはいえ袁家が潰えたわけではありませんので障りがある場合がございますので。」
「うむ、そのとおりだ。病気にて曹司空のもとより辞していた伯達を官渡での勝利を受けわざわざ戻してやったのだ。
かつて世話をしてやったことを含めて司馬家は十分曹家に力添えをしてやっている。これ以上してやる義理はない。
しかし、完全に自身の足場を固めることもできていないのにそれ以上を望むとは、呆れたものよ。」
嘆息し司馬防が続けた。
「まだ経験のないものであること、また郷里より出ると兄のように体調を崩しかねないと言って断っておる。
その意、わかるな?」
「わかっております。此度いただいた官位の通り粛々と責務を果たす所存です。」
「ならば、下がるがよい。」
退室の礼をし、司馬懿は部屋を辞した。
自室に戻ると、司馬懿はため息をついた。
わざわざ父が曹司空を引き合いにだしたのだ、上計掾として勤める前に郷里の有力者としっかりつながりを持つようにということなのだ。
これから方々へ自身も漢に仕えることになった故の挨拶の書簡を用意しなければならない。
そのことを考えるとどうしても面倒でため息が出てしまったのであった。